はじめに|“ゆとりある老後”は本当に実現できるのか?
40年後の自分を想像すると、ふと胸がザワつく――
「毎月の生活費は? 旅行や趣味は? “もしも”の医療・介護費は?」
ニュースでは年金制度の先行き不安を煽る言葉が並び、“老後2000万円不足問題”というフレーズも一時期話題になりました。
わが家は賃貸暮らしで住居コストは毎月の家賃のみ。
車も保有しています。家計では投資信託への積立を最優先にして現金を配分しています。
子どもはまだ小さく、これから教育費が本格化する段階です。
そこで今回は「60歳で退職し、ゆとりを持って90歳まで生きる」ために いくら必要なのかを3段階のシミュレーションで可視化しました。
- 退職時点で必要な金額は?
─ ゆとりある生活費+医療・介護費を詳細に計算 - その金額を貯めるために今の資産で足りる?
─ 追加投資ゼロ&複利運用だけで到達できるか検証 - 積立額・期間をどうすれば達成できる?
─ 月3〜10万円の積立シナリオを比較し、最適解を探る
結果を先に言うと、保守ラインの年4%運用で見ても「月5万円を継続」すれば 目標ラインに乗ることが判明。
では具体的にどの積立パターンがわが家に合うのか、一緒に見ていきましょう。
退職時点で必要な金額は?|ゆとりある生活のシミュレーション
まずはぶれパパ家の老後資産シミュレーションの前提条件を整理します。
老後の生活費は世帯ごとに大きく異なります。ここでは 生命保険文化センターが公表する「ゆとりある老後生活費」月37.9万円 を採用しましたが、この数字には旅行や趣味、交際費といった“ゆとり費用”が含まれています。 最低限の生活費と比べると約1.5倍程度高いややリッチな設定のため、 「老後もアクティブに楽しみたい派」のラインとしてご覧ください。
- 年初資産:7,000万円
- 運用利回り:年4%
年金収入
- 私(ぶれパパ):60歳まで勤務、25歳から35年間勤務、平均年収850万円
└ 厚生年金:月14.4万円 - 妻(ぶれママ):50歳まで勤務、22歳から28年間勤務、平均年収300万円
└ 厚生年金:月7.9万円 - 年金制度改悪を想定し、上記合計を70%で計算
- 年金収入合計:月15.6万円
└ 年金額の詳細試算には 日本年金機構「ねんきんネット 年金見込額試算」 が便利です
支出の前提
- 60~74歳:月37.9万円(ゆとりある生活費)
- 75歳以降:月25万円(生活規模の縮小を考慮)
- 医療・介護費:75~84歳は年間15万円、85歳以降は年間50万円
- 住宅ローン完済済み・車は新車購入せず維持費のみ (いずれもゆとりある生活費に含む)
シミュレーション結果
以下の 2 つのグラフが示すように、この厳しい条件下でも、7,000万円の資産があれば 90歳まで資産が枯渇しない見込みとなります。



7000万円って数字、正直ヒザが震えるレベル…。

でも “ゆとり” を確保するなら、このくらい見ておくと安心じゃない?
このシミュレーションから言えること
- 退職時点で 7,000 万円の資産があれば、年金制度の悪化や医療・介護費の増加という 厳しい想定でも、90 歳まで資産を枯渇させずに生活できる。
- とはいえ余裕はほぼなくなるため、予備資産や副収入を 確保しておくことが望ましい。
その金額を貯めるために今の資産で足りる?
投資信託1,600万円を“積立ゼロ&完全放置”で運用した場合、
7,000万円に届くのか──長期で複利運用したシミュレーションです。
- 毎月積立:0円
- 運用益はすべて再投資(複利)、税金・手数料は未考慮
- 想定利回り:3% / 4% / 5% / 6% / 7%

利回り | 長期運用後の資産 (万円・概算) | 7,000万円達成? |
---|---|---|
3% | 約3,560 | ✕ 大幅不足 |
4% | 約4,620 | ✕ 約2,380万円不足 |
5% | 約5,980 | ▲ 1,020万円不足 |
6% | 約7,720 | ◯ 余裕あり |
7% | 約9,940 | ◎ 十分達成 |

年4%だと5000万円台…やっぱり積立ゼロは厳しいかぁ。

パパ、がんばれー!
放置運用だけで見えた課題とチャンス
● 3~4%では圧倒的に不足
世界株が低迷した場合や円高局面が長く続いた場合、目標には遠く及びません。
● 5%でもギリギリ足りず
「あと1,000万円」を埋めるには、暴落時に取り崩さず耐え抜く精神力が必須です。
● 6~7%なら余裕を持ってクリア
歴史的な世界株・米国株平均リターン(約7%)に近い水準ですが、
年▲20%以上の下落局面もセットでやって来る点に注意が必要です。
▶ 次の課題
「保守的に年4%で見ると約2,400万円不足」──
では、「いつまで」「いくら」積み立てれば 7,000 万円を確実に超えられるのか?
次セクションで具体的に逆算します。
積立額・期間をどうすれば達成できる?
前セクションでは追加投資ゼロの場合、目標 7,000 万円に届かなかったことが判明しました。
そこで、ここでは5 つの積立パターンを比較し、60 歳時点での到達額を逆算します。
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シナリオ | 積立パターン | 60歳時点 資産(万円) | 7,000万円達成? |
---|---|---|---|
① 10→0 | 5年間 月10万円、その後 0円 | 6,154 | ✕ 850万円不足 |
② 10→5 | 5年間 月10万円、その後 月5万円 | 8,209 | ◯ 余裕あり |
③ 5→0 | 5年間 月5万円、その後 0円 | 5,384 | ✕ 1,616万円不足 |
④ 5→5 | 全期間 月5万円 | 7,438 | ▲ ギリ達成 |
⑤ 3→3 | 全期間 月3万円 | 6,308 | ✕ 692万円不足 |

月10万円を5年ブーストして、その後5万円…これなら教育費とも両立できそう!

家計表とにらめっこして、無理なく続けられるラインを決めましょ

ぶれパパ家、ファイト〜!
どのシナリオが現実的?
● シナリオ②(月10万→月5万)
教育費ピークを見据えて積立を緩めるプランながら、8,200万円超で余裕を持ってクリア。 「投資初期に種銭を一気に増やす→緩やかに継続」というバランス型です。
● シナリオ④(ずっと月5万)
家計インパクトを抑えつつギリギリ達成。
暴落時に積立を停止しない“握力”が成否を分けます。
● シナリオ①・③・⑤
いずれも不足額が大きく、追加のスポット投資や利回り向上策が必要です。
まとめ
- 保守的に年4%でも 月5万円 を続ければ到達ラインに乗る
- 「最初の5年を月10万円」で 達成確度を一気に高める ブースト効果が大
- ライフイベントごとの積立減額シナリオを事前に描くと安心
まとめ|7000万円への道筋と次のアクション
- ゆとりある老後を送るための
必要資産は約7000万円(医療・介護費込み)。 - 追加投資ゼロの場合、年6%以上の好成績が続かないと届かない。
年4〜5%想定なら月5万円の積立は必須ライン。 - 最も効率的だったのは
「最初5年を月10万円 → その後月5万円」のブースト型。
教育費ピーク前に種銭を一気に厚くできる。 - 「ずっと月5万円」でもギリギリ達成だが、
暴落局面で積立を止めないメンタルがカギ。
次にやるべきこと
- 家計簿を見直し、月5万円を無理なく捻出できるか再確認
- ボーナス時のスポット投資枠を決めておき、市場急落時に活用
- 年1回はシミュレーションをアップデートし
“貯める力” と “運用リターン” をチェック
老後資金の不安は “見える化” すればコントロールできるもの。
「いつまで・いくら」を数字で落とし込み、
家族と一緒に納得感のある資産計画を立てていきましょう!
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